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オーストラリアは観測史上最悪の雪不足。同じ物差しで比べると、日本の「いちばん悪い冬」はオーストラリアの平年と同じくらいでした
オーストラリアの2026年シーズンは、スペンサーズ・クリークの積雪が9月3日に31.2cmまで減り、1954年の観測開始以来で最悪の終わり方になりました。同じ方法で測った12冬で比べると、日本で雪がいちばん少なかった2015/16の冬(真ん中のスキー場で171cm)は、オーストラリアの平年(180cm)とほぼ同じです。
オーストラリアのスキーシーズンが、記録的な雪不足のまま終わろうとしています。
スノーウィー・マウンテンズのスペンサーズ・クリークでは、9月3日の積雪が31.2cmまで減りました。SBSの報道によると、1954年に観測が始まって以来、最悪のシーズンの終わり方です。今季いちばん深かったときでも94.5cmで、観測史上3番目の低さでした。
マウント・バウバウとセルウィンは8月のうちに営業を終えました。マウント・ホッサム、フォールズ・クリーク、シャーロット・パスも、9月最初の週末に閉じています。ABCは、この冬を記録的な少雪と、前例のない暖かさの冬だったとまとめています。
では、日本のスキー場はどうなのか。知っておきたいのは雪の多い年のことではありません。雪の少ない年に、どこまで落ちるかです。両国の12冬を、同じ物差しで並べました。
同じ物差しで12冬を比べる
当サイトは、世界3,069カ所のスキー場の降雪を、すべて同じ方法で測っています。1日ごとの降雪を冬のあいだ合計したもので、直近12冬を比べています。オーストラリアは6〜9月(2015〜2026年)、日本は12〜3月(2014/15〜2025/26)です。
比べるのは、両国とも平年100cm以上降るスキー場です。オーストラリアは10カ所中6カ所、日本は397カ所中376カ所になります。
2026年のオーストラリアの冬も、この記録に入っています。 シーズンは9月30日に終わりました。12冬にはオーストラリアのいちばん良かった冬も、今年の冬も含まれます。真ん中のスキー場で見ると、2026年は94cmで、12冬のうち3番目に少ない冬でした。
| オーストラリア 🇦🇺(6カ所) | 日本 🇯🇵(376カ所) | |
|---|---|---|
| 平年 | 180cm | 254cm |
| 各スキー場のいちばん悪い冬 | 57cm | 156cm |
| いちばん少なかったシーズン | 61cm(2015年) | 171cm(2015/16) |
| いちばん多かったシーズン | 362cm(2017年) | 322cm(2024/25) |
どれも、スキー場を並べたときの真ん中の値です。「平年」は、各スキー場の12冬の平均を並べたときの真ん中です。
まず最後の行を見てください。 いちばん良かった2017年、オーストラリアの真ん中のスキー場には、日本のいちばん良かった冬より多い雪が降りました。オーストラリアの当たり年は、本当に大きな冬です。
違いが出るのは「底」です。 日本でいちばん雪が少なかった2015/16の冬(171cm)は、オーストラリアの平年(180cm)と10cmも違いません。そしてオーストラリアの12冬のうち5冬(2015・2016・2023・2024・2026年)は、日本のいちばん悪い冬より少ない雪でした。
| オーストラリア | 真ん中のスキー場 | 日本 | 真ん中のスキー場 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 61cm | 2014/15 | 258cm |
| 2016年 | 84cm | 2015/16 | 171cm |
| 2017年 | 362cm | 2016/17 | 275cm |
| 2018年 | 249cm | 2017/18 | 301cm |
| 2019年 | 202cm | 2018/19 | 239cm |
| 2020年 | 182cm | 2019/20 | 219cm |
| 2021年 | 248cm | 2020/21 | 255cm |
| 2022年 | 283cm | 2021/22 | 308cm |
| 2023年 | 141cm | 2022/23 | 252cm |
| 2024年 | 124cm | 2023/24 | 263cm |
| 2025年 | 248cm | 2024/25 | 322cm |
| 2026年 | 94cm | 2025/26 | 249cm |
同じ行でも、同じ月ではありません。オーストラリアの冬は6〜9月、日本は12〜3月です。
オーストラリアは60cm前後から360cmまで振れます。日本は171cmから322cmのあいだに収まっています。
スキー場ごとに見る
| スキー場 | 平年 | 12冬で最も少ない冬 | 12冬で最も多い冬 |
|---|---|---|---|
| シャーロット・パス 🇦🇺 | 219cm | 67cm(2015年) | 369cm(2017年) |
| ペリシャー 🇦🇺 | 213cm | 41cm(2015年) | 369cm(2017年) |
| スレドボ 🇦🇺 | 186cm | 67cm(2015年) | 295cm(2017年) |
| セルウィン 🇦🇺 | 174cm | 59cm(2026年) | 380cm(2017年) |
| フォールズ・クリーク 🇦🇺 | 172cm | 29cm(2015年) | 332cm(2017年) |
| マウント・ホッサム 🇦🇺 | 163cm | 54cm(2015年) | 354cm(2017年) |
| ルスツ 🇯🇵 | 212cm | 155cm(2015/16) | 291cm(2021/22) |
| 富良野 🇯🇵 | 220cm | 181cm(2019/20) | 266cm(2014/15) |
| ニセコグラン・ヒラフ 🇯🇵 | 289cm | 166cm(2015/16) | 384cm(2021/22) |
| 妙高杉ノ原 🇯🇵 | 357cm | 230cm(2015/16) | 435cm(2021/22) |
| 白馬八方尾根 🇯🇵 | 414cm | 301cm(2019/20) | 609cm(2024/25) |
| 野沢温泉 🇯🇵 | 450cm | 301cm(2015/16) | 635cm(2024/25) |
| 白馬47 🇯🇵 | 668cm | 380cm(2015/16) | 860cm(2021/22) |
白馬47のいちばん悪い冬は、ペリシャーのいちばん良い冬より多く降っています。 同じような場所は、日本の376カ所中10カ所ありました。
日本全体では、次のようになります。
- 83カ所は、平年でも、オーストラリアのどのスキー場のいちばん良い冬より多く降ります。 オーストラリアでいちばん多かったのは、2017年のセルウィンの380cmです。
- 144カ所(38%)は、12冬のどの冬も、オーストラリアの平年(180cm)を下回りませんでした。
- 107カ所は、いちばん悪い冬でも、ペリシャーの平均(213cm)より多く降りました。
海外でよく知られた北海道のスキー場は、底がいちばん深い場所ではありません。 ニセコのいちばん悪い冬(166cm)はペリシャーの平均を下回り、ルスツ(155cm)も同じでした。富良野はほとんど外れ年がありませんが、いちばん多い冬でも266cmです。北海道の強みは量ではなく、冷たく乾いた雪です。底が深いのは、白馬・野沢・妙高・新潟の豪雪地帯です。くわしくは暖冬の年でも雪が残るスキー場にまとめています。
日本は温暖化に強いのか
そうとは言えません。
日本の悪い冬は、全国に同時に来ます。 376カ所中241カ所で、12冬でいちばん雪が少なかったのは同じ2015/16の冬でした。地域を選んでよけることはできません。
日本でいちばん雪の多い場所は、温暖化にもいちばん弱い場所です。 日本海を渡ってくる冷たい空気が、標高の低いところで、0℃に近い気温で雪を降らせているからです。今年8月に発表された研究では、4℃温暖化すると、自然の雪だけで安定して営業できるスキー場は全国349カ所中7カ所になり、いま雪がいちばん多い場所はその7カ所に入っていません(くわしくは英語の記事)。
言えるのは、いまの時点では、両国の差がとても大きいということです。この12冬、日本の悪い冬は、真ん中のスキー場にオーストラリアの平年くらいの雪を残しました。オーストラリアの悪い冬(2015年・2016年・2026年)は、真ん中のスキー場で61〜94cmでした。
測り方について
降雪量は、気象モデル(ERA5再解析)の日ごとの降雪を、各冬について合計したものです。当サイトの3,069カ所すべてを同じ計算で求めていて、日付の区切りは日本時間です。
比べたのは、両国とも平年100cm以上降るスキー場です。 オーストラリアは10カ所中6カ所、日本は397カ所中376カ所です。マウント・ブラー、マウント・バウバウ、マウント・モーソン、ベン・ローモンドはこの線より少なく、平年でそれぞれ73cm・46cm・68cm・20cmです。どちらの国も雪の少ない場所を外しているので、国全体の真ん中の値は、どちらもこの表より少し下がります。
隣り合うスキー場は、モデルの格子(10〜30km四方)を共有することがあります。ペリシャーとシャーロット・パスのいちばん良い冬が同じなのも、白馬47が白馬岩岳・栂池高原と同じ値なのも、そのためです。
このモデルは山の雪を実際より少なく見積もります。 気象庁の観測所と突き合わせると、実測の56%程度にとどまり、北海道はさらに低く出ます。オーストラリアについては、同じ突き合わせをしていません。両国ともcmは実際より低めで、表が比べているのは、同じ方法で測った場所どうしです。
ニュースで報じられたスペンサーズ・クリークの数字は、1地点の地面に積もった雪の深さです。 当サイトのシーズン合計の降雪とは測っているものが違うので、そのまま並べることはできません。
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